甲状腺ひとつ取ってみた

甲状腺腫の手術と入院生活などの記録

入院3日目(1)

「トイレ付きの個室ですか?」

「シャワー付きのほうがいいですか?」

いやいやいや……私は慌てて説明した。何も個室に入りたいわけではないこと。ただ閉所恐怖症できついので、6人部屋の真ん中だけは避けたいこと。できれば4人部屋がいいが、空きがないなら6人部屋の端、もしくは1日5,000円くらいで入れる簡易個室を希望していること。

看護師さんによると、私の入る病棟には簡易個室がないので、そもそも入れないのだそうだ。そして今日は個室しか空きがないので、とりあえず今日は個室、翌日部屋を移るという方向でということになった。予定外の出費だが、まあ1日なら仕方ないか……と思った。この時は。

車いすを押してもらって病棟に戻る。それではご覧ください、トイレ付きの個室です。

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さすが個室は違うなあ……と感慨にふける間もなく、担当の看護師さんがやってきた。

「全然後でいいんですけど、個室に入る場合はこちらの書類にサインをもらう必要がありまして……」

上機嫌で書類を見た次の瞬間、本気で目玉が飛び出るかと思った。こちらの個室、1日なんと約28,000円! しかも病院の個室代はホテルと違って1泊2日でいくらというシステムではなく、1泊したら自動的に2日分の料金がかかるのだ。つまり1日で出たとしても50,000円以上吹っ飛ぶことになる。ウソでしょ、ホテルだってこんな高い部屋泊まったことないのに……

動揺を隠せないまま、看護師さんに部屋を移りたいと必死で訴える。幸いなことに、明日なら4人部屋に空きが出るという。

「ただみなさんご自分では歩けないような状態で……ナースステーションの目の前なので夜とかうるさいと思うんですよね……」

看護師さんからオススメしません的なニュアンスをひしひしと感じたが、払えないものは仕方ない。個室以外だとそこしか空きがないというので、翌日そちらに移ることにした。

せっかく快適な個室に入ったのに、お金のことが心配で全然のんびり過ごせないという自らの貧乏性が恨めしかった。